#7 外資系金融から未経験でソフトウェアエンジニアへ|得意ではなく面白いを選ぶ
- careermentorjapan
- 2月11日
- 読了時間: 5分
更新日:5月4日

シャーリング里咲さん プロフィール
東京外国語大学 大学院 を2017年に卒業後、外資系金融機関のオペレーションズ部門へ新卒入社。在職中に半年間プログラミングを勉強し、2019年に実務未経験でソフトウェアエンジニアとして転職を果たす。さらにエンジニアとしてITベンチャーへと転職。
業界も職種も大幅なキャリアチェンジを叶えた里咲さん、話し方から今の充実ぶりが伝わってきました。決断の背景や当時の苦労についてお伺いしました。
業務を通して知った「やりたい仕事」
ー外資系金融機関オペレーション部門勤務から、ソフトウェアエンジニアに転身しようと考えた背景から教えて頂けますか。
1社目には、英語を活かしてグローバルな環境で働けることと、金融という専門性の高い業界で経験を積めることに魅力を感じて入社しました。ただ実際の業務では、社内システムの操作方法やお客様ごとの細かな対応など、社内や部署に特化した知識を習得する必要が多くありました。日々のルーティン業務を正確かつ迅速にこなすことが求められる中で、次第にその業務を自動化・効率化することに関心を持つようになりました。実際に業務改善のプロジェクトのためにIT部門と協働し、ソフトウェアが業務にもたらす変革の大きさを実感したことで、「自分もソフトウェアを作る側になりたい」という思いが芽生えました。また、プログラミングや技術の知識は、会社を越えて活かせる汎用的なスキルであることや、柔軟な働き方がしやすいことも魅力的でした。
仕事をつづけながら勉強に没頭する日々
ー半年間の勉強ののち転職を叶えられたということですが、お仕事しながらのプログラミングの勉強はどのように実現されたのでしょうか。
幸いにも、バックエンドエンジニアの友人にメンターとしてサポートしてもらいました。個別に質問できるメンターの存在は学習において大きな助けになりました。勉強期間は約半年で、平日は仕事の昼休みや帰宅後の時間を活用し、週末は1日を通して学習に没頭する生活を送りました。もちろん、仕事が忙しいと学習時間が確保できなかったり、疲労で集中力が続かなかったりする日もありました。「一度退職して学習に専念すべきか」と迷うこともありましたが、空白期間を作ることは避けたいと考え、仕事は継続しました。
振り返ってみると、心身への負担が許容範囲内であれば、仕事を続けながら転職準備を進めることをお勧めします。特に未経験からのキャリアチェンジでは、「本当に転職できるだろうか」という不安がある中で、収入が途絶えることで余計な時間的プレッシャーを感じることになるからです。
ー転職活動についてもお伺いできますか。
転職サイトに登録して、実務未経験の人も採用している企業を中心に応募しました。当たり前のようにたくさんお見送りされましたが、なかには面接に進むことができた企業もありました。
当時はコロナ禍以前でしたので、面接はすべて対面形式でした。仕事を終えてから、毎晩のように選考先の企業に足を運ぶ日々が数週間続きました。
面接では「なぜエンジニアになりたいのか」は必ず聞かれたので、そこに関しては事前に言語化しておきましたし、面接を重ねるたびに上手く想いを伝えられるようになりました。あとは、未経験転職では能力よりもポテンシャルや姿勢が見られていると思ったので、勉強の成果はもちろんですが、エンジニアとして成長して貢献していく意欲を全力でお伝えしました。
ーソフトウェアエンジニアへ転身され、希望していた転職は叶いましたか?
仕事内容と働き方の両面において、希望していたことはおおむね実現できました。特に、チームや先輩方に恵まれ、エンジニアとしての基礎を丁寧にご指導いただけたことは、大きな財産となっています。それまで余暇時間を使って学んでいたプログラミングに本業として取り組めるようになったときは、感慨深い気持ちになりました。課題としては、未経験での転職だったので当初は予想通り収入が大幅に減少しました。ただ、これは想定していたことでしたし、技術力を高めていけば問題ないと自分に言い聞かせていました。

―今後のキャリアについて、今のお考えを教えて頂けますか。
近年の生成AIの進化は目覚ましく、ソフトウェアエンジニアの働き方も大きな転換点を迎えていると感じています。基本的なプログラミングタスクであればAIが対応できる領域が着実に広がっており、今後さらに拡大していくでしょう。
このような変化の中で、人間のエンジニアとしてどのような付加価値を生み出せるのかを考えながらスキルを伸ばしていきたいと考えています。また、せっかくなのでAIをフル活用したプロダクトづくりにも挑戦していきたいですね。
小さく始めるキャリアチェンジ
ー里咲さんは、キャリアの早い段階でご自身の進みたい道を見つけ、貪欲に努力を重ねてこられた印象です。これから1からエンジニアを目指す方や、まだ自分の進みたい道に迷っている方に、メッセージがあればお願いします。
実は「早い段階で見つけた」とは自分では思っていません。修士課程で通訳・翻訳を専攻し、新卒で金融機関に入社した後にエンジニアになったので、随分回り道をしたと感じています。ただ、キャリアチェンジをしたことには一切後悔がないです。
新しいキャリアへの挑戦を考えるとき、最初から大きな覚悟を持つ必要はないと思います。まずは小さく始めてみることをおすすめしたいです。例えばプログラミングに興味がある場合、初心者向けの教材で学習したり、自分のパソコンで動く小さなプログラムを作ってみたりできると思います。実際に手を動かすことで、純粋な面白さを感じられるのか、それとも漠然としたイメージや憧れだけなのかが見えてくるはずです。
そして、本当に面白いと感じられたなら、キャリアチェンジすることとしないことのメリット・デメリットをフラットに洗い出してみると、より良い意思決定ができるのではないでしょうか。